■空腹の平井さん




「平井さん」




「ん、何? たけし」

「コレ何ですか?」


「招き猫やないけ」


「・・・だからこの巨大な招き猫どっから持ってきたんですか」

「吉祥寺の骨董品屋で買うてきてん」

「こんな招き猫ばっか買ってどうすんですか。しかもなんでボクの机に置くんですか」

「ボクの机に物置きたないねん」

「・・・ボクの机ならええんですか」

「縁起モンやねんからええんやでぇ」

「そやったら自分の机に置いたらええですやん・・」

「細かいなぁ、たけしは。そんなことばっか言うとるから背が伸びんのや。ボクを見てみ」

「・・・・関係ないがな」




「たけし」

「なんですか」

「・・・腹減ったなぁ、たけし」

「冷蔵庫の中に買ったといた食料、平井さんが食ったからじゃないですか」

「知らんよぉ」

「ボケ老人装ったってあかんですよ。3日分買い込んでたのに」

「食べてないよぉ」

「食べたじゃないですか。博多ラーメンに冷凍ピザ、辛子明太もあったのに」

「もう忘れちゃった」

「何言ってんですか。返してください! ボクの博多ラーメン返してください!!」

「しついやっちゃなぁ。わめくとよけい腹減るでぇ」

「平井さんはいっつもそうや・・」



「おっしゃ、市ヶ谷行くぞ。市ヶ谷」



「・・・はぁ?」

「市ヶ谷だよ。そば食いに行くんだよ」

「なんで市ヶ谷ですか?」

「そりゃ、おまえ。昔駆け出しのころに市ヶ谷のスタジオ・・・・
  じゃなくて、組におったんや。思い出あるからやないか」

「“あるからやないか”言われても・・」

「ええから立たんかい」

「電車終わってますやん」

「何言うてんねん。チャリで行くんや、チャリで」

「自転車なんか持ってないですよ」



「アホか。駅でギるんやないか」



「ギるって・・・・。中坊やあるまいし、やめましょうよ、そんなの」

「極道が何言うてんねん。チャリのひとつやふたつで」

「嫌ですよ、寒いですやん」

「やから、あったまりにいくんやないけ」

「そばって立ち食いやないでしょうね? 立ち食いはヤですよ。集金でほっつき歩いたからヘロヘロですわ」

「アホか。ボクが立ち食いなんかすると思うか? ボクの名前を言うてみぃ」

「平井さん」

「そや、平井や。平井はちゃんとしたそばを食う」

「じゃ、どこですか」

「あんねん。ボクのファンのおばちゃんのやっとる店が」

「こんな時間にやっとるんですか?」

「起こして作ってもらうんや。ボクやったらいつでも歓迎してくれるんや」

「やめましょうや、そんなの・・」

「そこのおばちゃんがボクにメロメロやからやな」

「はあ?」



「そばだけやのうて股ぐらまで湯気立てよる」



「・・・それ、こないだも聞きましたがな」

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