■北京から来たお店-1



最近、自宅の近くに新しく中華の店が出来た。

今までよく行っていた中華の店Tがただでさえ割高なのに
値上げなんかしやがったから、それ以来Tには行かなくなった。

鶏カラ定食で900など考えられん!
オフィス街じゃあるまいし。

 

そこで最近はたまに新しく出来た中華Aの店に行くようになった。
量は普通だが味は結構うまいし、定食が全部750円なのがいい。
(しかしデザートの杏仁豆腐はいらん・・・)

店内は有線から中国の民族音楽みたいなのが流れていて、
店の人が中国人だけあって、訪れる客も中国の人が結構多い気がする。
やっぱり母国の文化や食や言語は安心するのだろう。
自分が外国に住んだとしてもやっぱり日本の記憶を懐かしむだろう。

さて、このAという店はたぶん夫婦であろう中国人の2人がやっていて、
厨房はにこやか笑顔のおっちゃん、
接客はすさまじく鬼みたいな怖い顔したおばちゃんがやっている。
このおばちゃんの容姿というのが最初かなり怖いのだが、
よくあることだがほとんど日本語がしゃべれない。


中国人は声がデカい(イメージ)。
声がデカいのに、片言の日本語でしゃべるものだから
すごくぶっきらぼうな雰囲気に感じてしまう。


「ソコー、座ルカー?」

「アーーー!?」

「コレ、辛ーイ」

「アディガトゴダマチタ(ありがとうございました)」

言葉にするとカワイイが
実際はやっぱり最初ちょっと怖い。


最初入った時、入り口のところに亀を飼っていた。

「でっかい亀やね」
とボクがおばちゃんに言うと、


「ア゛ーーー!?」


と聞き返されちょっとヒビったが、
“関西弁はハイブロウかも知れない”とも思い、


「・・いや、大きな亀ですね」


と言い直すと、


「イピキ、ニホンノカメ、モイピキ、チュゴクノカメヨ」


とおばちゃんは言った。
知ってる言葉を絞り出しながらにこやかに答えるおばちゃんを見ていると、
鬼瓦みたいな顔してるが本当はやさしい人なのかもしれない。

でも次に来店すると亀の入った水槽消えていた。

評判悪かったのだろうか・・・。


今日は今日で昼食をここでとろうと思い店に入ると、
店内はボクが入ると満席になった。
店内はボックス席だけで、
ちなみにボクは奥の4人掛けの広い席を一人で占領した。


今まで2種類しか頼んでなかったので今日は違うメニューで
“エビと豆腐のなんたらかんたら〜”を注文した。


忙しいのでなかなか料理が出来てこないが辛抱して待っていると、
厨房でおっちゃんとおばちゃんの怒鳴り声が聞こえてくる。
なにか言い争っている。
怒鳴り声からボクでもわかる単語は“麻婆豆腐”だけである。


しばらくしてからおばちゃんが客席のフロアに出てきて、
客席をキョロキョロと見回している。


気にせず食べていると、おばちゃんはボクのほうに歩いてきて、


「マ・・・マボドフタベルカ??」


と顔引きつらせながら言う。


“麻婆豆腐をサービスしましょうか?”
という意味かと思い、


「いいです。そんなに食べれません」


と断ると、どうやらそういうことではないらしい。


ボクは意味がわからず、


「え? どゆこと?」


と聞き返すと

メニューをボクに見せ、メニューの3番にあるボクの注文した品と、
8番にある麻婆豆腐を交互に指さしながらもう一度、


「マボドフタベルカ? タベルカ? タベルカァ?」

と言う。


どうやら


「オーダーを間違えて麻婆豆腐作ってしまったから、
 嫌いじゃなかったら注文替えてもらってもいいでしょうか?」

と言いたいらしい。

 

「・・・ええよ、麻婆豆腐好きやし」

と言って快諾すると、すぐに料理が運ばれてきた。
自分も昔バイトでよく間違えていたから全然腹も立たない。

 

 

 

食べていると満員の店内に更に客が入ってきた。
小さな子供2人をひきつれた4人家族。
おばちゃんは店内を見回し、空いてる席がないのを確認すると、


「トゥミマテン、モスコシマッテモラエルカ?」

とお客に謝っている。
謝りながらも席をチラチラ見回している。

「・・・じゃあ外で待ちますね」

と言うお父さんの声が聞こえてきたが
外は冷たい風が吹きすさんでるし、
大人はともかく子供がかわいそうだ。
それにおばちゃんのチラ見も気になるし。

考えてみると広い4人席を一人で占領してる自分が空いている席に行けばいいのだ。

「おばちゃん、席移ってもええよ」

「イイヨ、ワルイヨ」

最初断っていたおばちゃんも
「スミマテン。スミマテン」
と言って、食べかけのボクの食事を隣に運ぶと
外で待っている家族連れの客をボクの座っていた席に案内した。

 

ところがボクが間に合わせで案内された場所は
隣に座っていたチンピラ風の2人組の男の隣である。

“せっかくゆったりした席に座れたのに誰だこいつは?”

みたいな空気をそれとなく感じながらも残りをさっさと食べて店を出たのでした。


ダイタイイツモコンナカンジネ。







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