■ −夢の中− ハイル・スカイウォーカー【改訂版



ハイル・スカイウォーカー

 

「ルークどうしたんだ、元気がないじゃないか?」

 

ウェッジは酒場の片隅で一人寂しく酒をすするルークを見つけたのだ。


そのオーラの無さ加減はとてもジェダイ騎士とは思えず、
 ウェッジは旧友の姿を思わず“壁紙の一部”と勘違いしそうになったほどである。



ルークは泥酔し、トロンとした目つきでウェッジを見上げた。



「・・・ウェッジじゃないか。何してるんだ」

「いや、ブラリと飲みにきたらおまえを見つけたんでな。
 ・・ルーク、おまえ一人か?」


「・・・一人さ。・・・いつも一人さ。
 誰も相手にしちゃくれない」


「 ・・・“うるま”?

 ・・・ルーク、おまえ一体、何飲んでんだ?

 ・・・・うわ、臭ぇ!! ハブ酒じゃねぇか!!」


「・・・ハンもレイアも結婚していちゃついてばかりだし、
 みんなボクのことを“息苦しくて退屈”って言うんだ」


「・・おいおい、オレのことを忘れてないか? このウェッジ様を?」


「・・・キミだって来月には結婚するじゃないか。

 いいよな、幸せで。

 ボクにはなんにもない。仕事も金も恋人も。

 もうボクと遊ぶこともなくなるんだろ。

 一緒にスカイホッパーでネズミ撃ちした時のことなんか忘れちまっただろう?

 家庭を持ったら友人のことなんかすぐに忘れちまう。

 きれいさっぱりと。

 クレジットカードで大人買いした時の金額みたいに」


「覚えてるさ、忘れるわけないだろ。何を言ってるんだ?」


「・・・もうボクは童貞じゃないゾ」


「・・・そうか・・・。よかったじゃないか。相手は誰だい?」


「・・・商売女さ。高い金払ったのに“早いのね”って笑われたよ・・いい歳して・・」


「初めてなんだかしょうがないさ。今度オレがいい女紹介してやるよ」


「・・・ウソだね。
 いつもそんなこと言って口ばかりじゃないか」


「・・・なぁ、ルーク。なにが気に入らないんだ?」


「・・・この間、出会いサイトで知り合った女の子とデートしたんだ。

 ちょっと頭が悪そうだったけどかわいい子だったんだ。

 でもボクがジェダイ騎士だって言うと彼女

 “そんなのもう流行んないって。それにジェダイって金になんないじゃない?”

 なんてしゃあしゃあ言いやがったんだ!」


「今の若いやつには騎士のことなんてわからないさ。

 オレだって最初は半信半疑だったくらいだからな。

 でも、オレはおまえのことよくわかってるぜ。

 それにオレは相棒だろ?」

 
「・・・ウソだね、相棒なんて。

 そんなこと思ってもいないくせに。

 友達なんかいない。仲間なんかいない。

 ボクは誰も信用しない。

 みんな恩知らずだ。

 ボクは共和国に平和をもたらした兵士で

 銀河で只一人のジェダイだというのに!

 誰もボクを尊敬しない!」


 

 

デススターを破壊し、共和軍の将校として数々の戦闘を乗り越え、

 ついにはベイダーと皇帝をも打ち倒した。

ボクは銀河の英雄だ。

しかも只一人のジェダイなんだ。

 

それなのに褒美らしいものはなにもなかった。

役職どころか“資格も持ってない人に仕事はありません”と、

 マトモな仕事にさえありつけなかった。

仕方がないから短期募集で時給700円の流れ作業の工場や

 日雇いの人夫で食いつないでいた。


それに、ソロはボクのことをまた“坊主”と呼ぶようになった。

レイアがボクの妹だとわかって義兄弟になったからだ。


それまでずっと“ルーク”と呼んでたじゃあないか・・。


レイアはレイアでソロといちゃついてばかりだし、

「ルーク、今は剣よりペンが必要な時なのよ」

 と“したり顔”でボクに説教を始めやがる。


霊体となって姿を見せていたベンも父さんも

 童貞をなくした夜以降、すっかり姿を見せなくなってしまった。

 

共和国はすっかり平和を取り戻したが

 私腹を肥やす議員は後を絶たないし、

 民衆はすっかり平和ボケして日々、快楽にふけってばかりだ。

コルサントに再建築させたジェダイ寺院は

 パダワンが集まらず運営が不可能になり、

 今では恐竜のテーマパークになっている。

 確かスピルバーグとかいうやつが・・・。


パダワンさえ育てられず、

 スカイウォーカーの血を引くレイアでさえ



「修行なんて勘弁してよ」



 とパダワンとなるのを拒否する始末だ。

 思わずフォースで首を絞めてしまった。

文化も政治も物質欲が優先され、精神は軽んじられるようになった。

つまりジェダイはもう生まれない。

 

ボクはジェダイだ。

只一人のジェダイなのだ。

この腐った民衆の心を浄化する必要がある。

民主政治は悪だったのだ。

自由すぎる自由は民衆を堕落させる。

見よ、この道徳の不在。誰もかれも感謝もしないで要求してばかり。

皆考えるのはうまい汁を吸うことばかり。

怠惰。

なにも産み出さず消費するばかり。

今一度恐怖による統制が必要だ。

ボクがそれを行える唯一の存在なんだ!!

 

 


それからのルークの変貌と行動の迅速さは光の如しであった。

もともと悪のほうに才能があったのかもしれない。

旧共和軍の反逆児どもを集め軍隊を再編成すると、

 有力で反体制的な政治家や財力のある貴族たちを脅迫して資金を調達、

 各都市で戒厳令を敷き、一斉に有力者の粛正を行った。

遠隔地の標的の首をフォースで捻り殺すことさえ可能なルークに敵などいなかった。




“現実的・即効力のワラ人形”




すなわち“どこにいても確実に呪い殺される”ことに等しい。

自ら乗り込み主要な議員を殺害すると、新たな議員を配置させ議会を掌握した。


平和ボケした共和国の軍隊はものの見事に壊滅し、

 共和国は民主政治から一気に独裁政治に逆戻りした。

 言論の自由はなくなり、娯楽は厳しく検閲・規制された。

 反分子や不穏な輩は迅速に排除された。

 ある者は殺害され、ある者は辺境の強制収容所に送られた。

 

戒厳令のもとで民家は消灯を命じられた。

光の失せたコルサントの夜、暗闇に輝くのは警察署と共和国記念館が炎上する炎だけだ。

今、この瞬間から平和の二文字は消え去った。

かつての父と同じようにその炎を見つめている。

ルークの顔から以前の純真で情熱的な表情は消え失せた。


部下が右手を掲げ賞賛の声を上げた。

「ハイル・スカイウォーカー!!」

焼き討ちされ炎上する炎を見つめ、ルークの口元が残忍にゆがみ微笑んだ。

「お、そのセリフいいね」

 

節度のない自由からは嘘と惰性しか生まれぬ。

スカイウォーカーは容赦せん。

 

オレはジェダイだ。
銀河で只一人のジェダイなのだ。








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