■眉毛のない女2

その後も下の階からは時々大きな物音が聞こえてきた。
ドアを蹴る音、怒鳴り声、階段を走る音、悲鳴・・・・。
それはどの階の出来事なのか限定されてないようだ。
音が小さかったり大きかったりしているからだ。
私はだんだん恐ろしくなってきた。

その日は仕事が休みで、夕食を終えたばかりのところに友人から電話があった。
「おまえ今日ヒマ? ちょっと飲みにいかへん?」
「オレ明日仕事やで」
「明日は夜からやろ? ちょっとやからええやろ? 一杯だけや」
「ハハハ。おまえ、なんでオレのスケジュール覚えてんねん」
いつもの調子の会話でOKして、私は身支度を始める。
どうせ今日はヒマだったからちょうどいいや。
ベッドに腰掛け靴下をはいている時、ドアの向こうで小さな物音がした。

ガサガサッ

「・・・?」

マンションのドアに据え付けてある金属製の新聞受けの中に、何かがゆっくりと滑り込んでくる音だ。
「こんな時間に郵便物はないよな・・・」
そう思い、ドアの前に行く。
郵便受けには何も入ってない。
しばらく後、ドアの覗き穴から覗いた私は心臓が止まりそうになった。

「うわっっ!!」

私は大きな声を上げて、その場にしりもちをついた。
ドアの向こうからも誰かがこちらを覗き込んでいたからだ。

結局その夜はあまりの怖さに、友人との約束はキャンセルした。
次の朝、コンビニに買い物に出かけるために外へ出る。
夜型人間の自分としては朝早く起きるのは不思議なことなのだが、
仕事のせいだろうかそれほど苦痛に感じなくなっていた。
マンションの階段を降りていると、またおばちゃんに出くわした。
あいかわらず愛想がいいが、今朝は旦那さんを連れていた。
旦那さんはケガをしているらしく、おばちゃんが肩を貸して階段を降りている。

「・・・大丈夫ですか?」
「あ、おにいちゃん。お父ちゃん外でケンカしてきてな〜。しっかりしてぇな。病院連れてったるで。」
「うう・・・」
旦那さんはくぐもった声でうめくと、おばちゃんに連れられて路地を歩いていった。

ドスッ!・・・ゴン!

深夜、下の階からこもった衝撃音と、時おり何かを打ち付ける音が聞こえてくる。
そしてくぐもった悲鳴。
・・・しかし、これだけしょっちゅう騒音立ててるやつがいるのに、
誰も文句言ったりドアを開けて様子うかがってるヤツがいないようなのは何故なのか?

確かこのマンションには大勢住んでるはずだが?



3に続く

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