■お毛々シスターズ♯11 お毛々田無脱出

「とんだ食わせ者だったな」

私は不満と軽蔑のまなざしで、エロ本に釘付けの小さな師匠にそう言った。

「おまえのせいで貴重な時間を無駄にしたよ。オレは旅立つ」

陽田はかったるそうに大きなあくびをすると、私の顔を見て言った。

「まだ修行が終わっとらんで」

「何が修行だ!! 隣町のスーパーや雑貨屋で万引きしたり、
女子高生のスカートめくったりナンパしたり、エロビ観たりするののどこが修行だ。
だいいちオレはゆっくり修行にいそしんでる時間なんかないんだよ。
友人を助けにいかにゃならんのだよ。もう限界だ! 早くいかんと友人が殺されてしまう!!」

「ホンマに短気なやっちゃのぅ。そんなやから本屋でギってるとこパクられたりすんねん」

「おまえがオレを囮に使ったんだろ!! この悪党め!!」

「師匠が弟子を使うのは当たり前よの〜。ひゃっひゃっひゃっ」

「もういい! おまえなんかにもう関わってられん。このエロ導師め!!」

「まぁええがな」
そう言った陽田の手にはいつの間にかオレが買った小倉優子の写真集があった。

「・・・このやろう、いつの間に!! まだ忘れてなかったのか!!」

「途中で行んやったらこれは預かっとくでぇ〜」

「くっ、くそぅ・・・人の弱みにつけ込みやがって・・この悪魔め!!」

陽田は恨めしそうに悪態をつく私のことなど意に介せず、
さっそく私の写真集を舐めるように眺めだした。
「・・・くそぅ・・くれてやる! そんな本おまえにくれてやる!!」
私は走った。

「アンドリュー、来るんだ!!」

「エッ!? マ、マダイイジャナイデスカ!!」

すっかり陽田のエロ・ライブラリーに浸りきっているアンドリューは
まだここに居たいようだったが、私は強引にアンドリューの腕をつかんだ。
「マスター、マタ遊ビニ来マス!!」

「ばかやろう! あれはマスターじゃねぇ!!」

もうたくさんだ。こんな場所からすぐ離れるんだ。
陽田はうっすらと涙を浮かべながら悔しそうに走り去る私に叫んだ。

「用事済ませたら修行の続きしに戻ってくるんやで〜」

陽田の側にはいつの間にか便毛伸も立っていた。便も私に向かって叫んだ。
「たけしよ、今度来る時は修正ナシのブツ手に入れてきてくれ」

「誰が戻るか! おまえら二人ともとっとと逝っちまえ!!」


私はひたすら走った。お毛々西武新宿線田無駅に向けて走った。
ちょうど発車するところの急行に飛び乗った。


くそぅ・・・あいつらのせいですっかり時間を食ってしまった。
ケンジは・・・ケンジは無事なのか!?
オレがバカだった。なぜ偉大なマスターとただのエロジジィの区別がつかなかったのか・・・。
早く・・・早く行かなければ・・。


長い距離を走り乱れた息を整えているとなんだか隣がやかましい。
ふと見ると厚化粧でケバい衣装のおミズ系の若い女が携帯でしゃべっている。
電車の中だというのに周りも気にせず大きな声だ。
周囲の人もチラチラと不満そうに見ているが黙ったまんまだ。

・・・・アホゥどもめ!! みんなくたばっちまえ!!・・・・・

私は列車のドアが閉まる寸前に女の体を後からドンと押してやった。
女は列車の外に放り出された。
女は何が起こったのかしばらくわからず、携帯を持ったまま車内の私をボーゼンと見つめている。
私は笑いながら、女に向けて人差し指で頭にクルクルと円を描いた。
列車は動き出しすぐに女の顔も見えなくなった。
・・邪悪だ。すべて邪悪だ。・・・・・オレも邪悪だ。

その時、アンドリューが私の肩を叩いた。
私の顔をじっと見ている。
私の降りる駅は新宿方面へ6駅先の井荻駅。
・・・・・ハッ!? 車掌が停車駅のアナウンスをしている。


「え、この電車はぁ〜、え、所沢方面行きですぅ〜」
・・・・逆方向に乗ってしまった・・・・。

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